2026年9月16日、デジタル庁の「デジタル推進委員」を対象としたオンラインコミュニティイベント(第1弾)に、PICOからデジタル推進委員として参加しました。テーマは「今日から始めるデジタル防犯の基礎を学ぶ」。講師は警察庁サイバー警察局サイバー企画課の方です。
講座のなかで何度もくり返されたのが、「デジタル推進委員の皆さんから、身近な方へ伝えてほしい」というお願いでした。この記事では、受け取った内容のうち、ご家庭や子どもに関わる現場で、今日から役に立つことをまとめてお届けします。
- イベント
- デジタル推進委員 オンラインコミュニティイベント 第1弾
- テーマ
- 今日から始めるデジタル防犯の基礎を学ぶ
- 日時
- 2026年9月16日(オンライン開催)
- 講師
- 警察庁 サイバー警察局 サイバー企画課
数字で見る、いま起きていること
最初に紹介されたのは、インターネットを使った詐欺が急増しているという現状です(いずれも2026年上半期、警察庁発表の暫定値)。
約1,755億円
インターネットを使った詐欺の被害額
(前年同期より45%増)
約10億円
特殊詐欺の
1日あたりの被害額
約2.3倍
SNS型投資詐欺の被害額
(前年同期との比較)
特殊詐欺(SNS型投資詐欺などを含む)
うち SNS型投資詐欺
出典:警察庁「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」ほか をもとにPICO作成
特にSNS型投資詐欺は、1件あたりの被害額が大きく、まとまった資産を一度に失ってしまうケースが多いのも特徴です。「自分は大丈夫」と思っている人ほど、一度立ち止まって知っておきたい数字です。
家族で覚えておきたい、3つの合言葉
手口はさまざまですが、どれも「不安」や「あせり」をあおって、考える時間をうばうという点が共通しています。講座の内容から、家族で共有しやすい3つにしぼりました。
① メールやSMSのリンクは開かない
「アカウントが凍結されます」「至急ご確認ください」「お荷物を持ち帰りました」──本物そっくりのメールやSMSから偽のサイトに誘い、IDやパスワード、カード番号を入力させる手口(フィッシング)です。いつも使うサイトやサービスには、公式アプリか、ブックマークからアクセスする習慣をつけましょう。
最近は、銀行などを名乗って電話をかけ、メールアドレスを聞き出してからフィッシングメールを送る手口(ボイスフィッシング)も増えています。あやしい電話は一度切り、公式の代表番号にかけ直して確かめるのが安心です。
② 警察がSNSで連絡することはない
ニセ警察詐欺では、電話で警察官を名乗ったあと、LINEなどのアプリに誘導して「逮捕状」などの偽の画面を見せてきます。警察官がSNSで連絡したり、捜査をしたりすることは絶対にありません。最初の接触の9割は電話からです。2026年上半期の被害額は約508億円で、被害にあった方は70代がもっとも多くなっています。固定電話やスマートフォンの「国際電話の利用休止」や、警察庁推奨アプリで不審な着信をブロックする方法もあります。
また、SNSで「必ずもうかる」「あなただけ」と投資をすすめられたら要注意です。有名人の名前や写真が使われていても、なりすましの可能性があります。
③ 警告画面の電話番号には、かけない
インターネットを見ているときに突然「ウイルスに感染しました」という画面や警告音が出て、表示された番号に電話をかけさせる「サポート詐欺」。電話をかけると、サポート料金を払わされたり、パソコンを遠隔操作されたりします。
画面に出た番号には、絶対に電話をかけないこと。そのうえで、次の順番で画面を閉じます。
- Esc(エスケープ)キーを長押しして、全画面表示を解除する → ブラウザの「×」で閉じる
- 閉じられないときは、Ctrl+Alt+Deleteを同時に押して「タスクマネージャー」を開き、ブラウザを終了する
- それでもだめなら、電源ボタンを長押しして強制終了する(作業中のファイルは消えてしまうので注意)
いざというとき落ち着いて動けるように、IPA(情報処理推進機構)の偽セキュリティ警告の体験サイトで、閉じ方を一度ためしておくのがおすすめです。自分で対処できないときは、ひとりで抱えこまず、家族や警察に相談しましょう。
子どもたちが、知らないうちに「加害する側」にならないように
講座でもうひとつ強く呼びかけられていたのが、若い世代がサイバー犯罪に関わってしまうケースです。生成AIを使って他人のIDとパスワードで不正にアクセスしたり、アプリのサーバーに不正な指令を送ったりして、中学生・高校生が検挙された事例が紹介されました。警察庁からは、子どもや保護者、教育に関わる方へ広く伝えてほしいという呼びかけがありました。
多くの場合、はじめから悪いことをしようとしていたわけではなく、「ためしてみたら、できてしまった」「それが犯罪だとは知らなかった」というところから始まっています。だからこそ大切なのは、禁止することよりも、早いうちに「やっていいこと・いけないこと」の線引きを一緒に知っておくことだと、PICOは考えています。
- 他人のIDやパスワードを使ってログインするのは、たとえ友だちのものでも犯罪になる
- 「もうかる」「無料」のうまい話には、すぐに乗らない
- AIは便利な道具。だからこそ、使い方しだいで人を傷つけることもある
PICOがめざす「ICT教育」には、便利な使い方だけでなく、こうした安全やルールの学びも含まれています。子ども向けICT講座「ICTを学ぼう」でも、「安全に使うために」「トラブルから自分を守ろう」といった章を用意しています。ご家庭や子どもに関わる現場で、会話のきっかけにお使いください。
ほかにも知っておきたいこと
- 家のルーターやネットにつながる機器の点検を――古い機器や初期設定のままの機器が乗っ取られ、知らないうちに犯罪の「踏み台」に使われるケースがあります。「無料でもうかる」とうたうアプリを入れることで、同じことが起きる場合もあります
- 災害のときの情報は、拡散する前にひと呼吸――災害の際には、関係のない映像や生成AIで作られた動画、事実と異なる投稿が広がることがあります。「助けて」という投稿もまずは確かめ、義援金は信頼できる窓口から送りましょう
困ったとき・あやしいと思ったときの相談先
- 警察相談専用電話「#9110」――被害にあったかもしれない、不安なときに
- 警察庁「サイバー事案に関する相談窓口」――被害がなくても、あやしいサイトを見つけたら通報できます
- 都道府県警察の連絡先・警察署の一覧
- お金を払ってしまったときは、すぐにクレジットカード会社や、消費者ホットライン「188」へ
学んだことを、身近な人へ
デジタル推進委員は、デジタル機器やサービスに不慣れな方をサポートし、誰ひとり取り残されずにデジタル社会の便利さを受け取れるようにするための取り組みです。詐欺の手口は次々と変わりますが、「まず疑う」「一度立ち止まる」「ひとりで判断しない」という基本は変わりません。
PICOはこれからも、講座やピコっとラボなどの場を通じて、子どもたちと、子どもに関わる大人の方が安心してICTを使えるよう、学んだことを一緒に広めていきます。この記事を、ご家族や身近な方との話題にしていただけたらうれしいです。
そのほかの動画(YouTube・警察庁公式チャンネル):
フィッシング対策(専門学校穴吹デザインカレッジ 制作)
サイバー攻撃者にさせないための取組(京都府警察ネット安心アドバイザー 制作)
参考:
警察庁「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(PDF)
デジタル庁「デジタル推進委員の取組」