第4章
ICTを活用した授業デザイン

ICT子ども教育者検定3級

はじめに

ICTを学んだ子どもたちが、それを「学びの道具」として活用できるかどうかは、授業のつくり方によって大きく変わります。

だからこそ、先生や指導者が、ICTを“どう授業に取り入れるか”を考えることがとても大切です。

「ただ使う」ではなく、「学びが深まるように使う」ことがポイント。たとえば、クイズを使った参加型の授業、調べ学習を支えるクラウドツール、オンラインでの交流授業など、ICTを使うことで、授業の幅はぐんと広がります。

この章では、実際の授業でICTを活かす方法やヒントを紹介していきます。
“子どもが夢中になる授業”を、ICTで一緒にデザインしてみましょう!

4-1. ICTを活用することで授業はどう変わるか?

これまでの授業では、先生が黒板の前に立ち、子どもたちは話を聞き、ノートをとるという「一方向の授業」が中心でした。

しかし、ICTを活用することで、授業のかたちは大きく変わり始めています。

ICTを使った授業では、子どもたちが自分の端末を操作して「調べる」「まとめる」「発表する」ことができるようになります。

つまり、“受け身”の学びから、“自分で考えて動く学び”へと変化するのです。

たとえば、同じテーマの学習でも、

など、子どもの“関わり方”が能動的になります。

ICTを使う前と後の授業のちがい

項目ICTを使う前ICTを使った後
授業形態一方向の講義型双方向・協働型
学習スタイル受け身で聞く自分で調べ・発表する
発表方法口頭発表や黒板プレゼンテーションや動画発表
学びの広がり教室内で完結オンラインで他校とも交流

💬 「“自分ごと”の学びに変える力」

ICTを使うと、学びが「受け身」から「自分ごと」に変わります。

子どもたちが自分で調べたり、まとめたり、発表したりすることで、「学ばされている」から「学びたい」へと意識が変化します。

ICTは、ただのツールではなく、「学びを変える力」を持っているのです。

ポイントまとめ

4-2. オンライン授業と対面授業の違い

近年、ICTの進展とともに「オンライン授業」が急速に広がりました。

特にコロナ禍以降、全国の学校でタブレットを使った授業や、Zoom・Google Meetなどを使った“遠隔での学び”が当たり前になりつつあります。

オンライン授業と対面授業は、それぞれに良さと課題があります。大切なのは、「どちらが良いか」ではなく、目的や子どもの状態に応じて使い分けることです。

オンライン授業と対面授業のちがい(比較一覧)

項目オンライン授業対面授業
授業形態遠隔での学習、デジタル教材中心教室での対面学習、直接指導
学習環境自宅やオンライン環境学校や教室
コミュニケーションチャットやビデオ通話を活用直接会話やグループ討議
メリット遠隔地でも参加可能、時間の柔軟性直接サポート、リアルタイムの反応
課題接続トラブル、孤立感感染リスク、移動時間がかかる

💬 「どちらも“子どもが学ぶため”の手段」

オンライン授業も対面授業も、それぞれが「子どもが学ぶための手段」であり、どちらが優れているかを比較するものではありません。

大切なのは、子どもたちの学びを支えるために、環境や目的に合わせて柔軟に使い分けることです。

ICTを活用することで、選択肢が増え、学びの幅が広がることを理解しておきましょう。

ポイントまとめ

4-3. Google Classroom・Microsoft Teams の基礎

学校や教育現場でよく使われているクラウド型の授業支援ツールには、

📗 Google Classroom(グーグル クラスルーム) と
📘 Microsoft Teams(マイクロソフト チームズ) があります。

これらのツールは、「授業の進行」「課題の配布と提出」「子どもとのやりとり」などをオンライン上でスムーズに行える仕組みです。

特に、遠隔授業や家庭学習でも使えるので、子どもたちの学びを止めない環境づくりに役立っています。

Google Classroom と Teams の主な機能

項目Google ClassroomMicrosoft Teams
授業管理クラスごとの課題配布・集約チャネルごとに授業を管理
コミュニケーションクラス掲示板やコメント機能チャットやビデオ通話機能
課題提出Googleドライブと連携し、ファイル提出OneDriveと連携し、ファイル提出
リアルタイム授業Google Meetとの連携Teamsミーティング機能
利用環境Gmailアカウントで利用(Google連携)Microsoftアカウントで利用(Office連携)
連携アプリGoogle Workspaceアプリ全般Microsoft 365アプリ全般

💬 「操作を覚えるより、“どう活かすか”が大事」

Google Classroom や Microsoft Teams は、操作に慣れるまでに少し時間がかかるかもしれません。

でも、実際に使いながら学ぶことで、「どう使えば学びが深まるか」を子ども自身が発見していくことが大切です。

教える側も、操作方法だけにこだわらず、「どんな学び方ができるか」を一緒に考える姿勢が求められます。

ポイントまとめ

4-4. クイズ・ゲームを使ったアクティブラーニング

ICTを活用することで、授業に「クイズ」や「ゲーム」を取り入れることが容易になり、子どもたちが楽しみながら学べる環境が整います。

これまでの一方向の講義では難しかった「主体的な参加」や「考える力の育成」が、アクティブラーニングとして実現しやすくなりました。

たとえば、オンラインクイズツールを使って、学習内容を復習することで、理解度を測りながら楽しく学べるのが特徴です。

また、プログラミングを使って自分でゲームを作り、友達同士で遊ぶ中で、試行錯誤の過程を共有することができます。

💬 「“楽しい”は最高のエンジン」

子どもたちは、楽しみながら学ぶとき、驚くほどの集中力を発揮します。

ICTを使った授業で、子どもたちがいちばん集中する瞬間は「ゲームっぽさ」があるとき。でもそれは、“遊び”ではなく「考えながら動いている時間」です。

「楽しい=真剣に学んでいる」ことも多いのです。授業のなかに小さなクイズやゲーム要素を取り入れることで、子どもたちのやる気・記憶・発言量がぐんと高まります。

クイズやゲームは、「もっとやってみたい!」という意欲を引き出し、自然と学習へのモチベーションを高めます。

ICTを活用して、「楽しい」を学びのエンジンに変える工夫が、アクティブラーニング成功のカギです。

ポイントまとめ