はじめに
ICTを学んだ子どもたちが、それを「学びの道具」として活用できるかどうかは、授業のつくり方によって大きく変わります。
だからこそ、先生や指導者が、ICTを“どう授業に取り入れるか”を考えることがとても大切です。
「ただ使う」ではなく、「学びが深まるように使う」ことがポイント。たとえば、クイズを使った参加型の授業、調べ学習を支えるクラウドツール、オンラインでの交流授業など、ICTを使うことで、授業の幅はぐんと広がります。
この章では、実際の授業でICTを活かす方法やヒントを紹介していきます。
“子どもが夢中になる授業”を、ICTで一緒にデザインしてみましょう!
4-1. ICTを活用することで授業はどう変わるか?
これまでの授業では、先生が黒板の前に立ち、子どもたちは話を聞き、ノートをとるという「一方向の授業」が中心でした。
しかし、ICTを活用することで、授業のかたちは大きく変わり始めています。
ICTを使った授業では、子どもたちが自分の端末を操作して「調べる」「まとめる」「発表する」ことができるようになります。
つまり、“受け身”の学びから、“自分で考えて動く学び”へと変化するのです。
たとえば、同じテーマの学習でも、
- 教科書を読む → 動画を見てイメージを深める
- ノートに書く → クラウド上にまとめを記録し共有する
- 発表する → プレゼン資料をつくってクラスで発表する
など、子どもの“関わり方”が能動的になります。
ICTを使う前と後の授業のちがい
項目 | ICTを使う前 | ICTを使った後 |
---|---|---|
授業形態 | 一方向の講義型 | 双方向・協働型 |
学習スタイル | 受け身で聞く | 自分で調べ・発表する |
発表方法 | 口頭発表や黒板 | プレゼンテーションや動画発表 |
学びの広がり | 教室内で完結 | オンラインで他校とも交流 |
💬 「“自分ごと”の学びに変える力」
ICTを使うと、学びが「受け身」から「自分ごと」に変わります。
子どもたちが自分で調べたり、まとめたり、発表したりすることで、「学ばされている」から「学びたい」へと意識が変化します。
ICTは、ただのツールではなく、「学びを変える力」を持っているのです。
ポイントまとめ
- ICTを活用することで、授業が「一方向」から「双方向」へと変化する。
- 子どもたちが「調べる」「まとめる」「発表する」活動を主体的に行うようになる。
- ICTを使った授業では、オンラインでの交流やクラウド活用などが学びを広げる。
- 授業を「受け身」から「自分ごと」に変える力がICTにはある。
4-2. オンライン授業と対面授業の違い
近年、ICTの進展とともに「オンライン授業」が急速に広がりました。
特にコロナ禍以降、全国の学校でタブレットを使った授業や、Zoom・Google Meetなどを使った“遠隔での学び”が当たり前になりつつあります。
オンライン授業と対面授業は、それぞれに良さと課題があります。大切なのは、「どちらが良いか」ではなく、目的や子どもの状態に応じて使い分けることです。
オンライン授業と対面授業のちがい(比較一覧)
項目 | オンライン授業 | 対面授業 |
---|---|---|
授業形態 | 遠隔での学習、デジタル教材中心 | 教室での対面学習、直接指導 |
学習環境 | 自宅やオンライン環境 | 学校や教室 |
コミュニケーション | チャットやビデオ通話を活用 | 直接会話やグループ討議 |
メリット | 遠隔地でも参加可能、時間の柔軟性 | 直接サポート、リアルタイムの反応 |
課題 | 接続トラブル、孤立感 | 感染リスク、移動時間がかかる |
💬 「どちらも“子どもが学ぶため”の手段」
オンライン授業も対面授業も、それぞれが「子どもが学ぶための手段」であり、どちらが優れているかを比較するものではありません。
大切なのは、子どもたちの学びを支えるために、環境や目的に合わせて柔軟に使い分けることです。
ICTを活用することで、選択肢が増え、学びの幅が広がることを理解しておきましょう。
ポイントまとめ
- オンライン授業と対面授業は、それぞれにメリットと課題がある。
- 「どちらが良いか」ではなく、目的や状況に応じて使い分けることが大切。
- ICTを活用することで、学びの選択肢が増え、柔軟な教育が可能になる。
- 子どもたちの学びを支えるために、環境や目的に合わせた工夫が求められる。
4-3. Google Classroom・Microsoft Teams の基礎
学校や教育現場でよく使われているクラウド型の授業支援ツールには、
📗 Google Classroom(グーグル クラスルーム) と
📘 Microsoft Teams(マイクロソフト チームズ) があります。
これらのツールは、「授業の進行」「課題の配布と提出」「子どもとのやりとり」などをオンライン上でスムーズに行える仕組みです。
特に、遠隔授業や家庭学習でも使えるので、子どもたちの学びを止めない環境づくりに役立っています。
Google Classroom と Teams の主な機能
項目 | Google Classroom | Microsoft Teams |
---|---|---|
授業管理 | クラスごとの課題配布・集約 | チャネルごとに授業を管理 |
コミュニケーション | クラス掲示板やコメント機能 | チャットやビデオ通話機能 |
課題提出 | Googleドライブと連携し、ファイル提出 | OneDriveと連携し、ファイル提出 |
リアルタイム授業 | Google Meetとの連携 | Teamsミーティング機能 |
利用環境 | Gmailアカウントで利用(Google連携) | Microsoftアカウントで利用(Office連携) |
連携アプリ | Google Workspaceアプリ全般 | Microsoft 365アプリ全般 |
💬 「操作を覚えるより、“どう活かすか”が大事」
Google Classroom や Microsoft Teams は、操作に慣れるまでに少し時間がかかるかもしれません。
でも、実際に使いながら学ぶことで、「どう使えば学びが深まるか」を子ども自身が発見していくことが大切です。
教える側も、操作方法だけにこだわらず、「どんな学び方ができるか」を一緒に考える姿勢が求められます。
ポイントまとめ
- Google ClassroomとMicrosoft Teamsは、クラウド型授業支援ツールとして広く活用されている。
- 授業の進行、課題の配布・提出、子どもとのやりとりをオンラインで効率的に行える。
- 遠隔授業や家庭学習でも利用でき、学びを止めない環境づくりに貢献する。
- 操作方法を覚えるだけでなく、「どう活かすか」を子ども自身が発見できる支援が大切。
4-4. クイズ・ゲームを使ったアクティブラーニング
ICTを活用することで、授業に「クイズ」や「ゲーム」を取り入れることが容易になり、子どもたちが楽しみながら学べる環境が整います。
これまでの一方向の講義では難しかった「主体的な参加」や「考える力の育成」が、アクティブラーニングとして実現しやすくなりました。
たとえば、オンラインクイズツールを使って、学習内容を復習することで、理解度を測りながら楽しく学べるのが特徴です。
また、プログラミングを使って自分でゲームを作り、友達同士で遊ぶ中で、試行錯誤の過程を共有することができます。
💬 「“楽しい”は最高のエンジン」
子どもたちは、楽しみながら学ぶとき、驚くほどの集中力を発揮します。
ICTを使った授業で、子どもたちがいちばん集中する瞬間は「ゲームっぽさ」があるとき。でもそれは、“遊び”ではなく「考えながら動いている時間」です。
「楽しい=真剣に学んでいる」ことも多いのです。授業のなかに小さなクイズやゲーム要素を取り入れることで、子どもたちのやる気・記憶・発言量がぐんと高まります。
クイズやゲームは、「もっとやってみたい!」という意欲を引き出し、自然と学習へのモチベーションを高めます。
ICTを活用して、「楽しい」を学びのエンジンに変える工夫が、アクティブラーニング成功のカギです。
ポイントまとめ
- クイズやゲームを活用することで、子どもたちが楽しみながら学べる授業を実現できる。
- 「考えながら動く」学びが、集中力ややる気を引き出す。
- アクティブラーニングの一環として、子どもたち自身が発表し、共有する機会を増やすことが大切。
- ICTを活用して「楽しい」を学びのエンジンに変える工夫が成功のカギとなる。