第2章
インターネットと情報リテラシー

ICT子ども教育者検定3級

2-1. インターネットの仕組みと基本的な使い方

インターネットは、世界中のコンピュータやサーバーをつなげる巨大な情報のネットワークです。私たちはスマートフォンやパソコンを使って、このネットワークにアクセスし、さまざまな情報をやり取りしています。

もともとは、軍事研究や大学間の通信を目的に作られたインターネットですが、今では教育・ビジネス・医療・生活のあらゆる場面で欠かせない存在となりました。

教育現場では、インターネットを通じて教材の共有、調べ学習、オンライン授業、クラウド上での課題提出などが行われています。子どもたちにとってインターネットは、世界中の情報にアクセスできる「学びの扉」なのです。

ただし、インターネットは便利な一方で、使い方を間違えると危険に巻き込まれるリスクもあります。正しく安全に使うためには、インターネットの基本的な仕組みを理解しておくことが必要です。

インターネット利用の主な場面

利用場面具体例
情報検索Google検索、辞書サイト利用
コミュニケーションメール、チャット、ビデオ通話
学習オンライン授業、動画教材視聴
発表・発信ブログ執筆、SNSでの意見発信
データ管理クラウドストレージ(Google Drive等)

💬 インターネットとWebのちがい

インターネットはネットワークそのもの、つまりデータを運ぶ「道路」。Webはその上を流れる「情報のかたまり(ウェブサイト、ページ)」です。

インターネット=道、Web=道を通る車や荷物(情報)とイメージすると理解しやすいです。

ポイントまとめ

2-2. 情報リテラシーとは?(正しい情報の見分け方)

私たちは毎日、インターネットを通じてたくさんの情報にふれています。しかしその中には、うそや間違った情報、意図的に人をだます情報も含まれています。こうした情報の中から、必要で正しいものを見きわめ、活用する力のことを「情報リテラシー」と呼びます。

子どもたちは「調べ学習」や「SNS」などでネットを使う場面が増えています。だからこそ、ただ“情報を検索する”だけでなく、その情報が本当に正しいのか? 誰が発信しているのか? 目的は何か? を考える習慣を持つことがとても大切です。

チェック項目ポイント
発信者の正確さ誰が書いた情報か?(専門家・団体・公的機関など)
情報の更新日日付は新しいか?古い情報ではないか?
情報源の引用出典や根拠が書かれているか?
他と比べてどうか他のサイトと同じ内容か? 違いがある場合はなぜか?
感情をあおっていないか「〇〇は危険!」「今すぐ共有!」など、極端な表現に注意

💬 子どもは“検索できる”けど“判断する力”は育ち途中

子どもたちは検索そのものは得意ですが、その情報が正しいかどうかを判断する力はまだ育成途中です。検索技術だけでなく、情報の見極め方も一緒に学ぶことが大切です。

ポイントまとめ

2-3. ネットの危険と対策(フィッシング詐欺・個人情報保護)

インターネットはとても便利ですが、その裏にはいくつかの危険やリスクもあります。たとえば「フィッシング詐欺」などのネット犯罪は、子どもにも身近な問題です。

フィッシング詐欺とは、本物そっくりなメールや画面を使って、IDやパスワード、クレジットカード番号などの個人情報をだまし取ろうとする行為です。最近では、ゲームやSNSの中でリンクを送り、「ログインしてください」と誘導されることもあります。

また、個人情報(名前・住所・学校名・顔写真など)をむやみにネットに載せることもとても危険です。知らない人に使われたり、思わぬトラブルに巻き込まれたりすることもあります。

子どもが気をつけるべきネットの危険と対策

危険の種類どんなこと?対策方法
フィッシング詐欺本物そっくりの偽サイトで情報を盗まれるリンクは信用せず、公式から確認
なりすまし他人の名前や写真を使われる公開範囲の確認・SNSの非公開設定
個人情報の流出名前・住所などが知られてしまう位置情報・個人情報の投稿を控える
誹謗中傷・トラブルSNSやチャットでのいじめや誹謗中傷「ことばの責任」について教える

💬 子どもは“信じやすい”からこそ守る力を

子どもたちは、見た目が似ている画面や、「おめでとう!プレゼントが当たりました!」という言葉を疑うことがむずかしい世代です。だからこそ、「知らない人からのリンクは開かない」「パスワードは絶対に教えない」など、繰り返し伝えることが大切です。

トラブルにあったときも、「大人にすぐ相談できる環境」を整えておきましょう。

ポイントまとめ

2-4. 安全なパスワード管理の方法

インターネットを安全に使うためには、パスワードの管理がとても大切です。パスワードが他人に知られると、自分のアカウントが乗っ取られたり、悪用されたりする危険性があります。

特に子どもたちが使うパスワードも、安全で強固なものを設定する必要があります。以下のポイントを意識して、パスワードを管理しましょう。

安全なパスワードの作り方

ポイント説明
長くする8文字以上で、できれば12文字以上が理想
複雑にする英数字・記号を混ぜる(例:Pa$$w0rd!)
個人情報を避ける名前・誕生日・学校名などは使わない
使いまわさない異なるサービスごとに異なるパスワードを使う
定期的に変更少なくとも半年に一度は変更する

🔐 パスワード管理の工夫

💬 パスワードを「紙」に書いてもいい?

パスワードを忘れないために「紙」に書いておく人もいますが、管理が雑になると危険です。紙に書く場合は、鍵のかかる場所に保管し、他人に見られないように気をつけましょう。

また、家族や信頼できる大人にだけ、緊急時のために教えておくのも一つの方法です。

ポイントまとめ

2-5. SNSやチャットの正しい使い方

SNSやチャットアプリは、友だちや家族と簡単に連絡が取れる便利なツールですが、正しく使わないとトラブルに巻き込まれることがあります。

特に、言葉の使い方や情報の共有に注意が必要です。相手を傷つけたり、個人情報を漏らしたりしないよう、マナーを守って使いましょう。

SNSやチャットのマナー

マナー具体例
言葉づかいに注意乱暴な言葉や悪口は使わない
感情的にならない怒りや悲しみをそのまま投稿しない
写真・動画の投稿に配慮他人が写っている場合、許可を得る
返信を強要しないすぐに返信がなくても、無理に催促しない
個人情報を守る住所や電話番号を公開しない

💬 SNSは「見えない相手」とのやり取り

SNSやチャットでは、画面の向こうにどんな人がいるか分かりません。友だちだと思っていた相手が、実は他人だったというケースもあります。

そのため、慎重なやり取りが大切です。「ネットで知り合った人には個人情報を教えない」「困ったときは必ず大人に相談する」など、子どもたちに具体的なルールを教えましょう。

ポイントまとめ