第4章 第1節

ネットいじめ・トラブルの予防

起きにくくする工夫と、起きた時の対応
🎯 この節を読むと分かること

・ネットいじめの5つの特徴が分かる
・いじめにつながりやすい場面と予防策が分かる
・子どもがトラブルに巻き込まれた時の対応の基本が分かる
・法律・公的窓口の基礎知識を持てる

🤔
はじめての問い

⚠️ 油断が見過ごす原因になる

「うちの子はいい子だから大丈夫」「クラスの雰囲気はいいから心配ない」——これらの油断が、ネットいじめが見過ごされる原因になることがあります。

ネットいじめは、対面のいじめとは違う特徴があり、大人が気づきにくい性質があります。本節では、その特徴を理解し、予防・早期発見・対応の基本を学びます。

💡 覚えておきたい言葉

ネットいじめいじめ防止対策推進法デジタルタトゥー・ 傍観者・観衆・相談窓口

ネットいじめとは
インターネット・SNS・チャット・ゲームなどのデジタル空間を通じて行われるいじめのこと。24時間続き、拡散しやすく、証拠が残るという対面のいじめと異なる特徴があります。
いじめ防止対策推進法とは
2013年に公布(2020年改正)された、いじめ問題に特化した法律。ネット上のいじめも対象に含まれ(第19条)、学校はいじめ対策組織の設置が義務付けられています(第22条)。
デジタルタトゥーとは
インターネット上に一度公開された情報は完全に消すことが難しく、将来にわたって残り続けること。刺青(タトゥー)のように消えにくいことからこう呼ばれます。
🏠 家庭で実践する場合

週に1回は「学校どう?」より具体的に「最近◯◯のグループはどう?」と聞く
子どもが投稿しているSNS・チャットは、本人の同意のうえで時々一緒に見る
ネットいじめのニュースを家族で話題にする(ジャッジでなく学び)
「責める前に聞く」関係を日頃から育てる

🏫 指導の現場で実践する場合

学級・園で「ネットの上手な使い方」を年複数回扱う
いじめ相談アンケートを定期的に実施
家庭への配布物に公的相談窓口を毎号載せる
スクールカウンセラー・養護教諭との連携を密に

📖
基本を知る

⚠️ ネットいじめが対面のいじめと違う5つの点

🕐
① 24時間続く
学校を出ても・休日でも、スマホを通じて続く。逃げ場がない
帰宅後も被害が続くため、心身の疲弊が深刻になりやすい
📡
② 拡散しやすい
画像・動画・メッセージが一瞬で広まる。被害が指数的に拡大する
数百人・数千人に広まることも。デジタルタトゥーになる可能性も
👤
③ 匿名で起きやすい
加害者が特定されにくいため、歯止めがかかりにくい
面と向かっては言えないことを書き込める状況が生まれる
👁️‍🗨️
④ 大人が気づきにくい
子どものデバイスの中で起きるため、発見が遅れる
普段の様子の変化(元気がない・食欲がない等)が唯一のサイン
📜
⑤ 証拠が残る
スクリーンショットで証拠を保存できる(対応に有利な場合もある)
被害を受けた時は、すぐスクリーンショットを保存する

📋 典型的なネットいじめのパターン

👤
なりすまし
本人を装って投稿・発言する / サイン:本人の知らないアカウントの存在
📷
写真・動画の悪用
意図せず撮られた・編集された画像 / サイン:嫌がる写真の共有要求
🚫
グループ外し
クラスのチャットから1人だけ外す / サイン:急にメッセージが来なくなる
💬
晒し・誹謗中傷
個人の悪口・恥ずかしい情報を投稿 / サイン:ネットを見て急に元気がなくなる
📤
送信の強要
「写真を送れ」「言葉を真似ろ」と要求 / サイン:本人の意思に反する投稿の痕跡

⚖️ いじめ防止対策推進法(2013年)の基本

💡 3級として知っておきたい法律の基本ポイント

・いじめの定義:「心理的・物理的な影響を与え、対象児童が心身の苦痛を感じているもの」
・ネット上のいじめも対象に含まれる(第19条)
・学校はいじめ対策組織を設置する義務(第22条)
・生命・身体・財産に重大な被害が出る、または30日以上の不登校が「重大事態」
・被害者・保護者の申告がなくても、学校・関係機関は対応する義務がある

🛡️ ネットいじめを起きにくくする4つの方法

💬
① 関係性を作る
普段から親子・先生と子どもが話せる関係。困った時にすぐ言える土壌が最大の予防
「責める前に聞く」を徹底する
🧠
② スキルを教える
「これは送ってよいか?」「これを書いて誰かが傷つかないか?」を考える練習
送信前に「5秒考える」習慣をつける
📋
③ ルールを作る
家庭・教室でのSNS・チャットルールを一緒に決める
「知らない人とはやり取りしない」を具体的に約束する
📞
④ 相談先を共有
子ども専用の相談先リストを作って、子ども自身が知っている状態にする
困った時の相談先を財布・スマホ・部屋に貼っておく

🚨 トラブル発生時の対応手順

1️⃣
子どもの安全を最優先
子どもを責めず、「教えてくれてありがとう」「あなたは何も悪くない」と伝える
2️⃣
証拠を保存
スクリーンショット、メッセージ、投稿の保存(削除される前に)
3️⃣
削除を試みる
事業者への申告・報告機能を使う、必要に応じて警察に相談
4️⃣
学校・保護者と情報共有
担任、スクールカウンセラー、学年主任等と連携して対応
5️⃣
必要に応じて専門機関へ
24時間子供SOSダイヤル・警察相談窓口・法的機関へ相談

🚀
はじめてみよう

💬
ステップ1:「相談される大人」になる
普段から子どもの話を「ながら聞き」せず聞く / 「これおかしいよね」と言った時、即座に否定しない / 子どもが失敗した時、責める前に事情を聞く / 自分(大人)の失敗も時々話す
困った時にすぐ言える関係が最大の予防
🎭
ステップ2:考える練習を一緒にする
「クラスの友達の悪口メッセージが来たら?」「自分の知らない自分の写真が出回ってたら?」「友達に『これ送れ』と言われたら?」「自分が冗談で送ったメッセージで友達が泣いたら?」
実際にトラブルが起きる前にシミュレーション
📋
ステップ3:相談先リストを作る
家族の名前と電話 / 先生・保健室の連絡先 / 公的相談窓口 / 信頼できる近所の大人 → 子どものスマホ・財布・手帳など複数の場所に保存
「困った時はここに電話していい」を体験で覚える

家庭・指導の現場での具体的取り組み

🏠 家庭で実践する場合

週に1回は具体的に「最近◯◯のグループはどう?」と聞く
子どもが投稿しているSNS・チャットは、本人の同意のうえで時々一緒に見る
ネットいじめのニュースを家族で話題にする(ジャッジでなく学び)
「責めずに聞く」関係を日頃から育てる

🏫 指導の現場で実践する場合

学級・園で「ネットの上手な使い方」を年複数回扱う
いじめ相談アンケートを定期的に実施
家庭への配布物に公的相談窓口を毎号載せる
スクールカウンセラー・養護教諭との連携を密に

💼
ケースを見てみよう

💬
ケース1:小4のグループチャットでの誹謗中傷
子どもの変化に気づくのが第一歩

Jさん(小4)が、クラスの女の子のグループチャットで「Jちゃんって変だよね」というメッセージを見つけました。落ち込んだJさんは、お母さんに見せられず、ふさぎ込みました。

・帰宅後、いつもより元気がない
・夕食を残す、いつも見るアニメを見ない
・「学校どうだった?」に「ふつう」としか答えない
・夜、自室にこもる時間が長い
📍 対応:お母さんは責めず「最近何かあった?」と寝る前に聞く → Jさんが涙ながらに話したことを最後まで聞く → 「教えてくれてありがとう」「あなたは何も悪くない」と伝える → メッセージのスクリーンショットを保存 → 翌朝、学校に相談。担任とスクールカウンセラーが対応
・子どもの変化に気づくのが第一歩
・責めずに聞く・最後まで聞く
・証拠を残す(後の対応のため)
・家庭・学校で連携して動く
🏫
ケース2:2年生対象の「ネットの上手な使い方」授業
年齢が低くても、できる安全教育がある

ある小学校で、2年生対象に「ネットの上手な使い方」授業を行いました。

📍 授業の流れ(45分):導入(5分):先生がインターネットを使った話をする → クイズ(10分):「これって送っていい?」をペアで考える → ロールプレイ(15分):「これ送って」と言われたらどうする? → まとめ(10分):困った時に話せる大人を書き出す → 家庭へ(5分):お便りで家庭にも内容を共有
・「送る前に考える」を体験で覚えた
・困った時の相談先が、具体的に分かった
・家でも保護者と話すきっかけになった

振り返りチェックリスト

ネットいじめの5つの特徴を覚えている
24時間続く・拡散しやすい・匿名・大人が気づきにくい・証拠が残る
いじめ防止対策推進法の基本を理解している
ネット上も対象(第19条)・学校に対策組織の設置義務(第22条)
典型的なネットいじめパターンを5つ言える
なりすまし・写真悪用・グループ外し・晒し・送信強要
トラブル発生時の対応手順を知っている
安全確保→証拠保存→削除申請→学校連携→専門機関
子どもと相談先リストを作った
家族・先生・公的窓口を、子どもが自分で確認できる場所に

💡
今日の学びをふりかえろう

🌟 学習のふりかえり
ネットいじめ・トラブルの予防で最も大切だと感じたポイントはどれですか?
A
「相談できる関係を作る」ことが、あらゆる予防の土台である
B
ネットいじめの特徴を知ることで、サインに気づける可能性が上がる
C
トラブルが起きた時「子どもを責めない・証拠を保存」の2点が最初の行動
D
どれも重要で、今すぐ家族・クラスで相談先リストを作りたいと思った