第2章 第2節

小学校低学年(6-9歳):基本操作と創作

「自分でできた!」を増やしていく時期
🎯 この節を読むと分かること

・低学年に身につけさせたい基本操作6つが分かる
・6-9歳に合う活動例が10種類以上見つかる
・「自分でできる」と「大人がそばで見守る」のバランスが分かる
・ローマ字・タイピング導入の考え方が分かる

🤔
はじめての問い

📚 小学校1〜3年生とICT

小学校1〜3年生は、文字や数を学び、基本的な自己コントロールができるようになる時期です。「自分でやってみたい」「できた!」の体験が、自信と意欲を育てます。

ICT教育では、この「自分でできる」を増やしていきます。同時に、最低限のルール意識と、トラブルになる前に大人に相談する習慣を身につける時期でもあります。

💡 覚えておきたい言葉

基本操作(電源・起動・タップ・スワイプ・文字入力)タイピングプログラミング的思考・ デジタル作品づくり・情報モラルの初歩

基本操作とは
デジタル機器を使う上で最低限必要な操作のこと。電源のオン・オフ、ログイン、タップ・スワイプ、カメラ、文字入力などが含まれます。
タイピングとは
キーボードで文字を入力すること。低学年では音声入力・かな入力から始め、2年生からローマ字入力に移行していくのが標準的な流れです。
プログラミング的思考とは
順序立てて考える・繰り返しを見つける・条件によって分岐するという思考の仕方。2020年度から小学校で必修化されました。
🏠 家庭で実践する場合

「これ自分でできた!」を見つけて、しっかり褒める
操作で困っているときは、すぐ手を出さず、少し待ってみる
親自身の趣味(写真・動画編集など)を見せる
家族新聞・家族カレンダーを一緒に作る

🏫 指導の現場で実践する場合

学級でICT当番を作り、子ども同士で教え合う
「先生も知らないことがある」と伝え、子どもの発見を促す
作品はクラスで共有して、お互いに感想を伝え合う
家庭との連携で、学校での進捗を保護者に伝える

📖
基本を知る

💻 低学年で身につけたい基本操作6つ

電源・ログイン
自分で起動・終了できる
毎回、自分でやってみる習慣を
👆
タップ・スワイプ
画面操作の基本
好きなアプリで自然に習得
📷
写真・動画の撮影と保存
記録する力
「今日の発見」を撮る活動から
🎤
音声入力・かな入力
考えを言葉にする
短文の日記から始める
✏️
お絵描き・図形描画
視覚的表現
絵日記、図形遊び
📊
プレゼン資料の基本
考えを整理して伝える
簡単な発表資料を作る

🎨 推奨される活動例(10種類)

📸
写真絵日記
出来事を記録・言語化
音声入力でもOK
🎴
デジタル絵カード作り
創作の喜び
誕生日カード、季節カード等
⌨️
ローマ字タイピング
キーボード操作
ゲーム形式で楽しく
🧱
プログラミング絵本(ScratchJr等)
順序立てて考える力
MIT Media Lab・Tufts大学が共同開発した無料アプリ
✂️
紙工作のデジタル化
物理と仮想をつなぐ
作品を撮影して掲示
🎙️
音読・暗唱の録音
発音・抑揚
聞き返して自己改善
🔍
クラスでの調べ学習
情報を探す入門
「みんなで」のルール理解
🎵
音楽アプリで作曲
創作・表現
シンプルなビートメーカー
📖
デジタル絵本作り
物語を作る
数ページの短い作品から
✉️
友達への手紙
デジタルでのコミュニケーション
クラス内限定で安全に

🧩 プログラミング的思考の3要素

1️⃣
順序
やることを順番に並べる
朝の準備、料理の手順
🔁
繰り返し
同じことを何回もする
縄跳び10回、文字練習
🔀
条件分岐
もし◯◯なら△△する
雨なら傘、晴れなら帽子
💡 タイピング導入の段階

1年生:音声入力・かな入力中心、簡単な単語のタイピング体験
2年生:ローマ字を学習開始(学習指導要領)、ローマ字入力の導入
3年生:文章を打てる程度に。1分間に20〜30文字が目安

※ローマ字は小学3年生で本格指導開始ですが、入力の練習は2年生から始められます。

🚀
はじめてみよう

ステップ1:基本操作の習得チェック
☐ 自分で電源を入れて、ログインできる / ☐ カメラで写真を撮って、保存できる / ☐ 簡単な文字入力ができる(音声入力でも可) / ☐ 絵を描いて保存できる / ☐ 見たいアプリを自分で選んで開ける / ☐ 使い終わったら、自分で終了できる
子どもが「自分でできる」を確認する
🎨
ステップ2:1つの作品を完成させる
週1:テーマを決める(夏休みの思い出、好きな動物 等)→ 週2:写真・絵・文字を集める → 週3:並べて、つなげる → 週4:完成、家族・クラスに見せる
1か月かけて、1つのデジタル作品を作る
📋
ステップ3:簡単なルールを一緒に作る
時間(1日◯分まで)・場所(リビング、教室の決まった場所)・内容(家族・先生の見えるアプリのみ)・人(知らない人とは話さない)・困った時(必ず大人に相談)
「使うときの約束」を本人と一緒に決める

家庭・指導の現場での具体的取り組み

🏠 家庭で実践する場合

「これ自分でできた!」を見つけて、しっかり褒める
操作で困っているときは、すぐ手を出さず、少し待ってみる
親自身の趣味(写真・動画編集など)を見せる
家族新聞・家族カレンダーを一緒に作る

🏫 指導の現場で実践する場合

学級でICT当番を作り、子ども同士で教え合う
「先生も知らないことがある」と伝え、子どもの発見を促す
作品はクラスで共有して、お互いに感想を伝え合う
家庭との連携で、学校での進捗を保護者に伝える

💼
ケースを見てみよう

⌨️
ケース1:小2児童のローマ字タイピング導入
毎日少しずつが、無理なく身につく

Fさん(小2)は、3年生になる前にローマ字とタイピングを始めたいと先生から提案されました。お母さんは「無理させたくないけど、楽しく身につくなら」と協力しました。

📍 3か月の計画:1か月目:かな入力で簡単な日記(毎日3行)→ 2か月目:自分の名前と家族の名前をローマ字で打つ → 3か月目:好きな単語を10個ローマ字で打つ→簡単なゲームに挑戦
家庭での工夫:キッチンに「あいうえお→AIUEO」表を貼る・夕食前に5分だけタイピングタイム・打てた単語は「家族チャット」のグループに送る(家族が反応する)
・毎日少しずつが、無理なく身につく
・「打てた!」を家族が反応してくれると、続く
・学校で習うことの少し先を家でやると、自信になる
📚
ケース2:小1クラスのデジタル絵本作りプロジェクト
ICTが「作品を作るための道具」だと体感

小学1年生のクラスで、3か月かけて1冊のデジタル絵本を作るプロジェクトに取り組みました。

📍 プロジェクトの流れ:1か月目:「学校の好きなところ」をテーマに写真撮影 → 2か月目:写真を選び、ペアで「絵本のページ」を作る → 3か月目:全ペアのページをつないで、クラス絵本完成
・写真を撮るときに「何を伝えたいか」を考えるようになった
・ペアで「こっちの方がいいよ」と話し合うようになった
・完成した絵本を保護者会で見せ、家族にも自信を披露
・ICTが「作品を作るための道具」だと体感

振り返りチェックリスト

低学年で身につけたい基本操作6つを言える
電源・タップ・撮影・音声入力・お絵描き・プレゼン
6-9歳に合う活動を5つ以上挙げられる
写真絵日記・デジタル絵本作り・タイピング・ScratchJr等
タイピング導入の段階を理解している
1年:音声・かな → 2年:ローマ字入力導入 → 3年:文章が打てる
プログラミング的思考の3要素を覚えている
順序・繰り返し・条件分岐
子どもと一緒にルールを作れた
時間・場所・内容・人・困った時の5項目

💡
今日の学びをふりかえろう

低学年のICT活用について学んだことを振り返ってみましょう。

🌟 学習のふりかえり
低学年のICT活用で最も大切だと感じたポイントはどれですか?
A
「自分でできた!」の体験を積み重ねることが、自信と意欲を育てる
B
基本操作を身につけながら、「作る・見せる・褒められる」サイクルを作ること
C
タイピングは焦らず段階的に、毎日少しずつが効果的
D
どれも重要で、自分の関わる子に合わせて実践してみたい