CHAPTER 01

幼児期(3-6歳)のICT活用

遊びの中で自然に学ぶデジタル体験

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幼児期のデジタル体験とは

📖 みおちゃん(4歳)の初めてのタブレット体験

みおちゃんは、おばあちゃんのタブレットで初めてお絵描きアプリを触りました。最初は画面を見つめているだけでしたが、指で画面に触れると色が出てくるのを見て目をキラキラさせました。「ママ、魔法みたい!」と言いながら、30分間夢中になって絵を描いていました。

子どもにとってのデジタル体験は「魔法」のように不思議で楽しいもの。この感動を大切にしながら、安全で健康的に楽しめる環境を作ることが大切です。

💡 幼児期のICT活用とは

3歳から6歳の子どもたちが、遊びを通して自然にデジタル技術に触れることです。「勉強」ではなく「遊び」として楽しみながら、創造力や表現力、そして少しずつデジタル機器に慣れ親しんでいきます。一人ひとりの興味や発達ペースに合わせることが何より大切です。

発達ペースとは
子どもの身体的・認知的・社会的・情緒的な成長の速度や順序のこと。個人差があり、同じ年齢でも発達の段階や興味関心、得意分野は異なる。幼児期のICT活用では、この個別の発達ペースを理解し、無理のない範囲で適切な支援を行うことが重要。
🧸 3歳頃の特徴
初めての不思議体験
画面に触ると何かが起こることに興味津々。短時間で飽きることも多いけれど、繰り返し同じことを楽しむのも特徴です。
この時期の特徴
5-10分程度の短時間集中
同じ動作を何度も繰り返したがる
大人と一緒にやりたがる
簡単な操作(タップ)が中心
タップとは
タッチスクリーンを指で軽く叩く基本的な操作方法。幼児にとって最も直感的で理解しやすいデジタル操作の一つ。指先の発達と手と目の協調性を促進し、デジタルデバイスとの最初のインタラクションとして重要な意味を持つ。
おすすめ活動
• 画面をタップすると動物が鳴く
• 指で画面を触ると色が出る
• 大きなボタンの音楽遊び
• パパママと一緒に写真を見る
🎨 4-5歳頃の特徴
創作と表現の喜び
自分なりに何かを作りたい気持ちが強くなります。思い通りにいかないときもありますが、完成すると大きな達成感を感じます。
この時期の特徴
10-20分程度の集中ができる
自分なりの作品を作りたがる
「見て見て!」と見せたがる
簡単なルールを理解できる
おすすめ活動
• お絵描きアプリで自由創作
• 簡単なパズルゲーム
• 文字や数字の練習遊び
• 家族の写真で絵日記作り
🎓 5-6歳頃の特徴
小学校への準備期間
より複雑な活動にも挑戦できるようになります。友達と一緒に活動することも増え、協力して何かを作ることも楽しめます。
この時期の特徴
20-30分程度の活動ができる
計画を立てて取り組める
友達と協力できる
少し難しいことにも挑戦したがる
おすすめ活動
• 簡単なプログラミング思考ゲーム
• 調べ学習(動物、植物など)
• プレゼンテーション作り
• 友達との協働制作
プログラミング思考とは
問題を分解し、順序立てて解決策を考える思考法。幼児期では、手順を考える、原因と結果を理解する、論理的に物事を整理するなどの基礎的な思考力を育成。コンピュータープログラミングの技術習得ではなく、日常生活での問題解決能力の基礎を培うことが目的。
🏠 家庭でのICT体験のコツ

一緒に楽しむ:最初は必ず一緒に参加して、子どもの反応を見る
短時間から:5分程度から始めて、子どもの集中力に合わせて調整
褒めてあげる:「上手にできたね」「楽しそうだね」と声をかける
無理強いしない:嫌がるときは無理をせず、別の遊びに切り替える

🏫 園・学校でのICT活用指導

大画面活用:みんなで一緒に見られる大きな画面での体験
個別サポート:一人ひとりの理解度に合わせた支援
安全管理:機器の取り扱いと子どもの安全を最優先
保護者連携:家庭と園での活動を連携して進める

個別サポートとは
一人ひとりの子どもの特性、発達段階、興味関心に応じて提供する個別化された支援。同じ年齢でも理解度や操作能力に差があるため、それぞれの子どもに最適な方法でICT活用をサポートし、全ての子どもが楽しく参加できる環境を作ること。

🎮
楽しい活動例とやり方

実際に家庭や園で取り組める具体的な活動例をご紹介します。年齢は目安なので、お子さんの興味や発達に合わせて選んでください。

🎨
はるくん(3歳)のお絵かき体験
初めてのデジタルお絵かき

はるくんは初めてタブレットのお絵かきアプリを使いました。最初は画面を押すだけでしたが、色が出ることが面白くて夢中になりました。

🎨 成功のポイント:お母さんが「わあ、きれいな色だね!」「次はどの色にする?」と一緒に楽しんでくれたので、はるくんは15分間も集中して楽しむことができました。完成した絵を保存して、後でおじいちゃんに見せたときの嬉しそうな顔が印象的でした。

今では、はるくんは週に2-3回、お母さんと一緒にお絵かきを楽しんでいます。

🎨
デジタルお絵かき
指で画面に触れるだけで色とりどりの絵が描けます。消しゴム機能があるので、失敗を恐れずに自由に表現できます。
3歳~:自由に色をつける、4歳~:形を意識して描く
🎵
音楽と楽器遊び
画面の楽器をタップすると音が鳴ります。リズムに合わせて演奏したり、自由に音を楽しんだりできます。
3歳~:音を鳴らして楽しむ、5歳~:簡単なメロディー作り
🧩
簡単パズル
大きなピースを正しい場所にはめるパズルゲーム。完成すると音楽が鳴ったり、絵が動いたりします。
3歳~:2-4ピース、4歳~:6-12ピース
📚
デジタル絵本
画面をタップすると読み上げてくれる絵本や、キャラクターが動く絵本で読書の楽しさを体験できます。
3歳~:音と絵を楽しむ、5歳~:自分で読む挑戦
デジタル絵本とは
タブレットやスマートフォンなどのデジタル機器で読む絵本。音声読み上げ機能、アニメーション、インタラクティブな要素などが追加され、従来の紙の絵本とは異なる体験ができる。幼児の読書への興味を高め、多感覚的な学習を促進する効果がある。
🐾
動物の鳴き声クイズ
動物の写真を見ながら鳴き声を聞いたり、クイズに答えたりして動物について学びます。
3歳~:鳴き声を聞いて楽しむ、4歳~:クイズに挑戦
🔤
文字・数字遊び
ひらがなや数字を楽しく覚えられるゲーム。音声でも教えてくれるので、自然に覚えることができます。
4歳~:文字の形を覚える、5歳~:簡単な言葉作り
🏠 家庭での活動を成功させるコツ

準備を整える:明るい場所で、子どもが座りやすい環境を作る
最初は一緒に:操作方法を優しく教えながら、一緒に楽しむ
時間を決める:「10分だけね」など、あらかじめ時間を決めておく
他の遊びも用意:デジタル以外の遊びも準備して選択肢を作る

🏫 園・学校での活動実践

環境整備:すべての子どもが参加しやすい配置と設定
役割分担:操作する子、応援する子など様々な参加方法
記録保存:子どもたちの作品や成長過程を記録・共有
振り返り:活動後に感想を聞いて次回に活かす

安全で健康的な使い方

幼児期のICT活用では、楽しさと同時に安全性と健康面にも配慮が必要です。子どもの体と心を守りながら、デジタル体験を楽しみましょう。

時間管理
短時間から始めて、子どもの集中力に合わせて調整
3歳:5-10分、4歳:10-15分、5歳:15-20分
👀
目の健康
適切な距離と明るさで、目の疲れを防ぐ
30cm以上離れる、部屋を明るくする
🤗
一緒に楽しむ
一人で使わせず、必ず大人と一緒に体験
親子で会話しながら、共同で創作活動
共同で創作活動とは
大人と子どもが一緒になって何かを作り上げる活動。幼児期のICT活用では、親子や保育者と子どもが共同でデジタル作品を制作することで、コミュニケーションを深め、子どもの創造性と社会性を同時に育む重要な教育手法。
😴
眠くなってきた時は?
「また今度遊ぼうね」と優しく切り上げる
😢
うまくできなくて泣いちゃった時は?
「大丈夫だよ」と励まして、一緒にやってみる
🎮
もっとやりたがる時は?
「明日も遊べるよ」と約束して、他の遊びに誘う
👥
お友達と一緒の時は?
順番を決めて、みんなで応援し合う
🏠 家庭での安全管理のポイント

環境チェック:明るさ、座り方、周囲の安全を確認
時間の約束:始める前に「○分だけね」と約束する
体調観察:疲れたサインを見逃さない
代替活動:デジタル以外の楽しい遊びも用意しておく

🏫 園・学校での安全指導

機器管理:清潔で安全な機器の維持管理
ルール指導:年齢に応じた分かりやすいルール作り
健康チェック:活動前後の子どもの体調確認
保護者連携:家庭での様子も含めた総合的な健康管理

健康チェックとは
ICT活動の前後で子どもの身体的・精神的な状態を確認すること。目の疲れ、姿勢、集中力の変化、情緒の安定などを観察し、必要に応じて休憩を促したり活動を調整したりして、安全で健康的なICT利用を支援する重要な指導技術。

💡
今日の学びをふりかえろう

幼児期のICT活用について学んだことを振り返ってみましょう。

🌟 学習のふりかえり
幼児期のICT活用で最も大切だと感じたことはどれですか?
A
子どもの年齢や発達に合わせて、無理なく楽しく進めることが大切
B
一人で使わせず、必ず大人と一緒に体験することが重要
C
短時間から始めて、安全で健康的な使い方を心がけることが必要
D
すべてが大切で、子どもと一緒にデジタル体験を楽しみたい