CHAPTER 03

より高度な活動への挑戦サポート

オリジナルの活動を企画・実施できるようになろう

🚀
「もっと難しいことがやりたい!」への対応

📖 中村先生の嬉しい悩み

5年2組を担任する中村先生のもとに、最近子どもたちからこんな声が聞こえるようになりました。「先生、もっと難しいプログラミングがやりたい!」「今度は動画じゃなくてゲームを作ってみたい!」「僕たちで地域の問題を解決するアプリを作れないかな?」

基本的なICT活用ができるようになった子どもたちが、より挑戦的な活動を求めています。でも中村先生は困っています。「高度な活動をどう企画すればいいのか分からない」「失敗したらどうしよう」「本当に子どもたちにできるのだろうか」

そんな中村先生のような指導者が、安心して高度な活動にチャレンジできる方法があります。

💡 2級で身につける高度な活動企画力

基本的なICT活用から一歩進んで、創造性と論理的思考を育む発展的活動を企画・実施する力を身につけます。失敗を恐れず、子どもたちの「やってみたい!」を実現する技術を習得しましょう。

🎨
創作活動の質を高める指導法

「上手に作る」ことより「自分らしく表現する」ことが大切です。技術的な完成度ではなく、創造性と表現力を伸ばす指導法を学びましょう。

🎭
あいかちゃん(9歳)のデジタル絵本制作
「私だけの物語」が生まれるまで

あいかちゃんは基本的な操作はできるようになりましたが、いつも「上手にできない」と途中でやめてしまいます。他の子の作品と比べて「私のは下手だから」と自信を失いがちでした。

📍 工夫したこと:「世界で一つだけのオリジナル絵本を作ろう」をテーマに、技術的な上手さではなく「あいかちゃんらしさ」を大切にする制作環境を整えました。

3ヶ月後、あいかちゃんは「私の絵本、お母さんが泣いて喜んでくれた!」と輝くような笑顔を見せ、創作することの楽しさを心から実感するようになりました。

🌈 創造性重視
独創性を最優先
技術的な完成度より、その子らしいアイデアや表現を大切にします。
指導のポイント
「正解」を求めない
失敗を歓迎する雰囲気
過程を重視した評価
個性を認め合う文化
具体的な方法
• 「世界に一つだけ」を合言葉に
• 途中経過の価値を認める
• 他者と比較しない評価
• 制作意図を聞き取る対話
📈 段階的スキルアップ
無理のない技術向上
基本操作から高度な機能まで、その子のペースで着実にステップアップ。
指導のポイント
小さな成功の積み重ね
興味に応じた機能紹介
「できた!」を大切にする
次への期待を育む
具体的な方法
• 基本→応用→発展の構造化
• 興味のタイミングで新機能
• 成功体験の可視化
• 「次はこれもできるよ」提示
🤝 相互学習促進
みんなで高め合う
お互いの作品から学び合い、切磋琢磨しながら創作活動を楽しみます。
指導のポイント
作品鑑賞の時間確保
良いところ発見活動
技法の共有機会
協働制作の提案
具体的な方法
• ギャラリーウォーク形式鑑賞
• 「すてきポイント」発表会
• 技術教え合いタイム
• コラボレーション作品制作
🏠 家庭での創作活動サポート

環境づくり:いつでも制作できる専用スペースと時間の確保
過程重視:「どんなことを考えながら作ったの?」と制作意図に関心
展示・共有:家族の見える場所に作品を飾り、成長を実感
技術学習支援:子どもが知りたがる新機能を一緒に調べる

🏫 授業での創作活動指導

時間設計:じっくり取り組める十分な制作時間の確保
個別サポート:一人ひとりの制作意図に寄り添った助言
発表の工夫:作品だけでなく制作過程も発表する機会
評価の多様化:技術・創造性・努力・協働性など多面的評価

🧮
論理的思考を育てるプログラミング指導

プログラミングは「論理的思考力を育てるツール」です。コードを書くことよりも、問題を整理し、順序立てて解決する思考プロセスを大切にしましょう。

🤖
ひろと君(10歳)の論理的思考の発達
「なぜ動かない?」から「どう解決する?」へ

プログラミングを始めたひろと君は、思った通りに動かないとすぐに「できない!」と諦めてしまいます。エラーが出ると感情的になり、試行錯誤することができませんでした。

📍 工夫したこと:「デバッグ探偵ゲーム」として問題解決を楽しいゲームに変え、「なぜ?」「どこで?」「どうすれば?」の3つの質問で順序立てて考える習慣をつけました。

半年後、ひろと君は「あ、ここが間違ってるかも!」と自分で問題を発見し、様々な解決方法を試すようになりました。学校の算数でも「順序立てて考える」ことができるようになったと担任の先生からも評価されています。

🔍
問題分解スキル
大きな問題を小さな部分に分けて考える力を育成
例:「お片付けロボット」→「探す」「運ぶ」「置く」に分解
📝
アルゴリズム思考
手順を整理し、効率的な解決方法を考える力
例:朝の準備手順、料理のレシピをフローチャートで整理
🔄
デバッグ能力
うまくいかない原因を探し、修正する問題解決力
例:「なぜ?」「どこで?」「どうすれば?」の3段階思考法
🎯
抽象化思考
共通のパターンを見つけて応用する力
例:繰り返し処理を日常生活の場面で発見・活用

🔍
情報活用能力を実践的に育てる方法

「調べる」だけでなく「活用する」力を育てることが重要です。情報を見つけ、整理し、新たな価値を生み出す実践的な能力を身につけさせましょう。

📊
5年1組の「地域の魅力発信」プロジェクト
情報収集から発信まで全工程を体験

「私たちの地域って、何もない田舎だよね」と言っていた子どもたち。地域に対してネガティブなイメージを持っていました。担任の佐藤先生は、子どもたちが地域の良さを再発見できる学習を企画しました。

📍 工夫したこと:「地域の魅力発信プロジェクト」として、情報収集・分析・整理・発信の全工程を子どもたちが主体的に体験できるよう設計しました。

3ヶ月後、「私たちの地域にこんなにたくさんいいところがあったなんて!」と目を輝かせる子どもたち。作成したデジタルマップは市役所のホームページでも紹介され、地域の方々からも感謝の声が届きました。

🔍
情報収集の多様化
→ ネット検索だけでなく、インタビュー、観察、実験など多角的なアプローチ
⚖️
信頼性の判断
→ 情報源の確認、複数情報の照合、事実と意見の区別
📊
情報の整理・分析
→ 分類、比較、関連づけ、パターン発見
📢
効果的な発信
→ 対象者に応じた表現方法、魅力的な構成、分かりやすい説明

🌍
社会とつながる学習プロジェクトの企画

学習が「学校の中だけ」で終わらず、実社会とつながる体験を提供することで、子どもたちの学習意欲と社会性を大きく向上させることができます。

🏪
6年生の「商店街活性化アプリ」開発プロジェクト
子どもたちのアイデアが実社会で活用されるまで

地域の商店街がシャッター街になりつつある現状を知った6年生。「僕たちにできることはないかな?」という疑問から始まったプロジェクトでした。最初は「子どもの意見なんて...」と大人たちも半信半疑でした。

📍 工夫したこと:商店街の方々へのインタビュー、お客様アンケート、他地域の成功事例調査を経て、「商店街スタンプラリーアプリ」を企画・開発し、実際に運用まで実現しました。

半年後、アプリ利用者は500人を超え、商店街の売上が15%向上。地元新聞にも取り上げられ、子どもたちは「自分たちの力で社会を変えられる」という大きな自信を獲得しました。

🏘️ 地域連携型
身近な課題解決
地域の課題や魅力を題材に、住民の方々と協働するプロジェクト。
プロジェクトの特徴
実際の地域課題に取り組む
多世代との交流・協働
成果が地域で実際に活用される
継続的な関係性構築
プロジェクト例
• 商店街活性化アプリ開発
• 高齢者向けスマホ教室企画
• 地域防災マップ作成
• 観光PRムービー制作
🌍 国際交流型
グローバル視点
海外の学校や子どもたちとの交流を通じた協働プロジェクト。
プロジェクトの特徴
異文化理解・国際感覚の育成
言語コミュニケーション力向上
グローバルな視野の拡大
多様性への理解と尊重
プロジェクト例
• 文化紹介ビデオ交換
• 共同デジタル作品制作
• オンライン合同発表会
• SDGs協働研究プロジェクト
👨‍💼 専門家協働型
本格的な学び
各分野の専門家と一緒に取り組む、より本格的なプロジェクト。
プロジェクトの特徴
専門的知識・技術の習得
職業・キャリア意識の醸成
高度な課題解決体験
社会で通用するスキル獲得
プロジェクト例
• 科学者と環境調査
• プログラマーとアプリ開発
• デザイナーと広告制作
• 起業家とビジネス企画
🏠 家庭から始める社会連携

身近な課題発見:「困ったな」「もっと良くなればいいのに」という気づきを大切に
地域の人とのつながり:近所の方、お店の人との会話を学習のきっかけに
発信の支援:子どもの作品や活動をSNSや地域の場で紹介
継続的な関わり:一時的でなく、継続的に地域と関わる機会を作る

🏫 学校での社会連携プロジェクト

外部との連携:行政、企業、NPO、専門家とのネットワーク構築
長期計画:単発でなく、年間を通じた継続的なプロジェクト設計
成果の可視化:子どもたちの貢献を社会に発信し、達成感を高める
安全管理:外部との連携における適切なリスク管理と安全確保

💡
今日の学びをふりかえろう

より高度な活動への挑戦サポートについて学んだことを振り返ってみましょう。

🌟 学習のふりかえり
高度な活動の企画・実施について学んだ中で、最も挑戦してみたいと感じたことはどれですか?
A
創作活動で子どもたちの「自分らしい表現」を大切にしたサポート
B
プログラミングを通じて論理的思考力を楽しく育てる指導
C
情報活用能力を実践的に育てるプロジェクト型学習
D
子どもたちと社会をつなぐ本格的な協働プロジェクト