CHAPTER 04

予算・調達・行政連携の実務

持続可能なICT教育運営の基盤

💻
ICT機器・ソフトウェアの選定

📚 「最新・高性能」が最適とは限らない

ICT機器の選定は、単に「最新のもの」「高性能なもの」を選べばよいわけではありません。教育目的との整合性、操作性、保守体制、コストなど、多角的な視点からの検討が必要です。

1級指導者には、教育的観点から機器選定に意見を述べ、調達プロセスに参画する力が求められます。

📋 機器選定の5つの観点

🎯
教育目的との整合
「何をしたいか」から逆算して機器を選ぶ。機能過剰は避ける。
問い:この機器で実現したい授業は何か?
👆
操作性・使いやすさ
教員・児童が直感的に使えるか。学習のハードルを下げる。
問い:ICTが苦手な教員でも使えるか?
🔧
保守・サポート体制
故障時の対応、アップデート、問い合わせ窓口の充実度。
問い:壊れたときにすぐ対応してもらえるか?
💰
総所有コスト(TCO)
購入費だけでなく、保守費、消耗品、更新費用も含めた総コスト。
問い:5年間でトータルいくらかかるか?
🔄
拡張性・互換性
将来の拡張、他システムとの連携、データ移行のしやすさ。
問い:次の更新時に困らないか?
💡 GIGAスクール端末の選定ポイント

GIGAスクール構想では、Chromebook、iPad、Windows端末の3種類が主な選択肢です。それぞれに特徴があり、自治体・学校の方針や既存環境との整合性を考慮して選定されます。

Chromebook:低コスト、管理しやすい、Googleツールと親和性
iPad:直感的操作、創作活動に強い、アプリ豊富
Windows:既存資産との互換性、Office連携、将来の職業スキル

🏠 保護者として知っておきたいこと

学校の選定理由を聞く:「なぜこの端末か」を理解すると家庭での支援も的確に
家庭での環境:学校と同じ環境を揃える必要はないが、互換性は確認
消耗品の負担:ACアダプタ、ケースなど、家庭負担の有無を確認

機器選定は専門的ですが、保護者説明会などで質問してみましょう。

🏫 選定プロセスへの参画

教育的観点の提案:「この授業にはこの機能が必要」を具体的に伝える
現場の声の集約:教員からのニーズを整理して管理職・教育委員会に伝える
試用期間の活用:導入前に実際に使ってみて評価する

1級指導者として、教育の専門家の立場から選定に関わりましょう。

💰
予算確保と費用対効果

📚 「お金がない」を乗り越える

ICT教育推進の最大の障壁の一つが予算です。しかし、「お金がないからできない」で終わらせず、費用対効果を明確に説明し、予算を確保する力が1級指導者には求められます。

📊 予算確保の3つのアプローチ

🏛️
自治体予算の活用
教育委員会・自治体への予算要求

学校予算だけでなく、教育委員会や自治体レベルの予算を活用する。GIGAスクール関連予算、DX推進予算などを確認。

📌 ポイント:予算要求時期(通常9〜11月)を逃さない。具体的な計画書と期待効果を明記。
🎁
補助金・助成金の活用
国・財団・企業からの資金獲得

文部科学省の各種補助金、総務省のICT関連事業、民間財団の助成金、企業のプログラムなどを活用。

CSR(シーエスアール)とは Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)の略。企業が利益追求だけでなく、社会貢献活動を行うこと。教育分野では、企業が学校へのICT機器寄贈、プログラミング教室の開催、教員研修の支援などを行う例があります。
📌 ポイント:公募情報を定期的にチェック。申請書作成のノウハウを蓄積。採択されなくても再チャレンジ。
🤝
企業連携・寄付
地域企業やPTAからの支援

地域企業からの機器寄付、PTAによる備品購入支援、クラウドファンディングなど、多様な資金調達手段。

📌 ポイント:企業にもメリットのある提案(CSR、地域貢献、人材育成など)。お礼と成果報告を忘れずに。
💡 費用対効果の説明方法

予算を獲得するには、「なぜ必要か」「どんな効果があるか」を数字で示すことが重要です。

定量的効果:学力向上(テスト点数)、業務削減時間、不登校児の出席日数増加など
定性的効果:学習意欲の向上、協働スキルの育成、教員の負担軽減など
比較:導入しない場合のコスト(機会損失、遅れの影響)も示す

✅ 予算要求書に含めるべき項目
🏠 保護者としてできること

PTA予算の活用:ICT関連備品の購入をPTAで検討
企業とのつなぎ:勤務先のCSR担当を学校に紹介
声を上げる:教育委員会への要望(保護者の声は効く!)

保護者の協力は、予算確保の大きな力になります。

🏫 予算獲得のための戦略

小さく始めて実績を作る:まず少額で成果を出し、次の予算につなげる
管理職を味方に:校長・教頭に必要性を理解してもらう
他校の事例:先進校の成功事例を資料に添付

1級指導者として、予算要求書の作成・提案を担いましょう。

🤝
行政・企業との連携

📚 学校だけで頑張らない

ICT教育は、学校だけで完結するものではありません。教育委員会、ICT支援員、EdTech企業、地域団体など、様々なステークホルダーとの連携が成功の鍵です。

🔗 連携先と連携のポイント

🏛️
教育委員会
施策の方向性、予算配分、研修支援、他校との情報共有の窓口。
連携のコツ:定期的な情報共有、成果報告、課題の早期相談
👨‍💻
ICT支援員
技術サポート、授業支援、教員研修の補助を担う専門スタッフ。
連携のコツ:役割分担の明確化、定期ミーティング、感謝の表明
🏢
企業
EdTech(エドテック)とは Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語。ICTを活用した教育サービスや製品、またはそれを提供する企業・業界を指します。学習アプリ、オンライン教材、校務支援システムなどを開発・提供しています。
教育向けサービス・製品を提供する企業。導入支援、研修、共同研究など。
連携のコツ:無料トライアルの活用、フィードバックの提供、対等な関係
🎓
大学・研究機関
教育研究の知見提供、学生ボランティア、共同研究プロジェクト。
連携のコツ:研究テーマとの合致、Win-Winの関係構築
🏘️
地域・NPO
プログラミング教室、デジタルリテラシー講座、ボランティア活動など。
連携のコツ:地域の人材発掘、継続的な関係構築
📌 連携を成功させるポイント

目的の共有:なぜ連携するのか、何を目指すのかを明確に
役割分担:誰が何を担当するかを文書化
定期的なコミュニケーション:進捗共有、課題の早期発見
成果の可視化:連携の効果を記録・報告
感謝と敬意:外部パートナーへのリスペクトを忘れない

✅ ICT支援員との効果的な連携
🏠 保護者も連携の一員

ゲストティーチャー:IT企業勤務の保護者が授業に参加
地域ネットワーク:地域のプログラミング教室情報を学校と共有
PTA活動:ICT関連の講演会や勉強会の企画

保護者の専門性やネットワークは、学校の大きな資源です。

🏫 連携のハブになる

ネットワーク構築:教育委員会、企業、大学との人脈を作る
情報収集:補助金情報、企業の教育支援プログラムをキャッチ
校内への橋渡し:外部リソースを校内の教員につなぐ

1級指導者として、学校と外部をつなぐ「ハブ」の役割を担いましょう。

💡
今日の学びをふりかえろう

第4章の最後のセクションです。組織マネジメントについて振り返りましょう。

🌟 学習のふりかえり
組織運営で最も取り組みたいことは?
A
学校全体の計画策定 - ビジョンと実行計画の策定
B
教員研修の企画・運営 - 指導力向上のプログラム設計
C
予算確保・資源獲得 - 必要なリソースの確保
D
外部連携の強化 - 行政・企業とのパートナーシップ