CHAPTER 04

学校全体のICT教育計画策定

組織的な推進体制を構築する

🏫
学校ICT教育ビジョンの策定

📚 「なぜ」から始めるICT教育

「タブレットが配られたから使う」「他校がやっているから」──こうした理由でICT教育を進めても、持続可能な取り組みにはなりません

1級指導者には、「なぜICTを使うのか」「ICTで何を実現したいのか」を言語化し、学校全体で共有する力が求められます。

💡 ICT教育ビジョンとは

ICT教育ビジョンとは、「ICTを活用して、どのような子どもを育てたいか」「どのような学びを実現したいか」を明文化したものです。学校教育目標と連動し、すべての教職員が共有できる形で策定します。

📝 ビジョン策定の5ステップ

1️⃣
現状分析
今どこにいるかを把握する

ICT環境、教員のスキル、児童生徒の実態、これまでの取り組みを客観的に分析。強みと課題を明確にする。

📌 ツール例:教員アンケート、ICT活用実態調査、学力調査との相関分析
2️⃣
目指す姿の設定
どこに向かうかを決める

3〜5年後に実現したい姿を具体的に描く。「ICTを使って〇〇ができる子ども」「△△な学びが日常的に行われている学校」など。

📌 ポイント:学校教育目標との整合性、具体的で測定可能な表現
3️⃣
合意形成
全員が納得できる形に

管理職、ミドルリーダー、一般教員、そして可能であれば保護者・地域とも意見交換。多様な視点を取り入れる。

📌 方法:ワークショップ形式の検討会、アンケートでの意見収集
4️⃣
言語化・可視化
誰にでも分かる形で表現

ビジョンを簡潔な言葉でまとめ、図やイラストで可視化。職員室への掲示、学校だよりでの共有など。

📌 ポイント:1文で言える「キャッチフレーズ」と、詳細な説明文の両方を用意
5️⃣
定期的な見直し
変化に合わせて更新

年度末に進捗を評価し、必要に応じてビジョンを更新。技術の進化や社会の変化に対応する。

📌 ポイント:の一環として位置づけ PDCAサイクルとは Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の4段階を繰り返すことで、継続的に業務や活動を改善していく手法。学校教育では、年間計画の策定→実施→評価→次年度への改善という流れで活用されます。
🏠 保護者として学校のビジョンを知る

学校だよりをチェック:ICT教育の方針が書かれていることも
保護者会での質問:「ICTで何を目指していますか?」と聞いてみる
意見を伝える:保護者アンケートなどで期待や懸念を伝える

学校のビジョンを理解することで、家庭での支援も的確になります。

🏫 ビジョン策定をリードする

管理職への提案:ビジョン策定の必要性をデータで示す
ワークショップの企画:教職員が参加しやすい形式で
先進校の事例収集:他校のビジョン例を参考に

1級指導者として、ビジョン策定プロセス全体をファシリテートしましょう。

📋
カリキュラム・マネジメント

📚 ICTを「特別なもの」から「当たり前」に

カリキュラム・マネジメントとは、教育課程を組織的・計画的に編成・実施・評価・改善するプロセスです。ICT教育を「特別なイベント」ではなく、日常の教育活動に位置づけることが重要です。

📊 ICT活用の系統表

💡 系統表とは

ICT活用系統表は、各学年・各教科でどのようなICTスキルを身につけるか、どのような活用場面があるかを一覧にしたものです。これにより、重複や抜け漏れを防ぎ、6年間(または9年間)を見通した計画的な指導が可能になります。

📍
縦の系統
同じスキルを学年進行でどう発展させるか。例:タイピング→文書作成→プレゼン作成。
例:1年:マウス操作→3年:ローマ字入力→5年:文書編集
📐
横の連携
同学年の複数教科でどう活用するか。教科横断的な視点で整理。
例:5年:社会で調べ学習、理科でデータ整理、国語で発表
🎯
重点単元
特に重点的にICTを活用する単元を設定。確実にスキルを身につける場面。
例:3年「町探検」でタブレット撮影、6年「卒業研究」でプレゼン
✅ カリキュラム・マネジメントのチェックリスト
🏠 家庭での補完

学校で何を学んでいるか確認:「今日はパソコンで何をした?」と聞く
家庭での練習:タイピング練習など、学校で学んだスキルの反復
先取りより復習:学校のカリキュラムに合わせた支援

学校と家庭で一貫した支援ができると、効果が高まります。

🏫 系統表作成のポイント

既存資料の活用:文科省「情報活用能力の体系表」を参考に
教科担当との連携:各教科の年間計画と突き合わせ
無理のない設定:「全部やる」より「確実にやる」を優先

1級指導者として、系統表の作成・管理を担当しましょう。

👥
校内推進体制の構築

📚 「一人の熱意」から「組織の仕組み」へ

ICT教育が「詳しい先生に任せきり」になっていませんか?特定の人に依存する体制は、その人が異動すると崩壊します。

持続可能なICT教育のためには、個人の熱意に頼らない組織的な推進体制が不可欠です。

🏗️ 推進体制のモデル

👔
管理職
ビジョンの承認、予算確保、外部連携。ICT教育の重要性を校内外に発信。
役割:意思決定、リソース配分、対外的な説明責任
🎯
ICT教育主任
校内のICT教育を統括。計画策定、進捗管理、研修企画を担当。
役割:全体調整、課題把握、改善提案(1級指導者の役割)
👥
ICT推進委員会
各学年・教科から代表者が参加。情報共有と意思決定の場。
役割:月1回程度の定例会、課題共有、好事例の水平展開
🤝
ICTサポーター
各学年に1名程度。日常的な相談役、トラブル対応の一次窓口。
役割:同僚への支援、簡単なトラブル対応、情報収集
📌 持続可能な体制のポイント

役割の明文化:誰が何を担当するか、文書で明確に
引き継ぎの仕組み:異動があっても継続できるドキュメント整備
負担の分散:特定の人に集中させない、全員参加の意識
外部リソースの活用:、教育委員会、企業との連携

ICT支援員とは 学校のICT活用をサポートする専門スタッフ。教員の授業準備の補助、機器のトラブル対応、児童生徒への操作支援などを行います。GIGAスクール構想により配置が進み、正式名称は「GIGAスクール運営支援センター」の支援員や「情報通信技術支援員」など自治体により異なります。
🏠 保護者としての協力

PTA活動での協力:ICT関連の講演会企画、ボランティア参加
専門知識の提供:IT業界の保護者が講師として協力
意見・要望の発信:建設的なフィードバックで学校を応援

学校と保護者が協力することで、より良いICT教育が実現します。

🏫 推進体制構築のステップ

現状把握:今の推進体制を可視化(あるいは「ない」ことを認識)
提案書作成:管理職に推進体制の提案を行う
仲間づくり:協力者を見つけ、小さく始める

1級指導者として、推進体制の中核となる役割を担いましょう。

💡
今日の学びをふりかえろう

ここまでの内容を踏まえて、学校全体のICT教育推進について考えてみましょう。

🌟 学習のふりかえり
学校全体のICT教育推進で最も重要だと思うことは?
A
明確なビジョンと目標 - 「なぜ」を共有すること
B
持続可能な推進体制 - 特定の人に依存しない仕組み
C
カリキュラムへの位置づけ - 計画的・系統的な実施
D
教職員の合意形成 - 全員が納得して取り組む